石倉氏は、Triathlon team「SAMURAI」を2013年に立ち上げられ、同レースに出場しレースレポートを頂いた安曇 樹香選手もSAMURAIのメンバーです。
お二人とも表彰台に立ち、石倉氏は見事来年度のIRONMAN世界戦の権利を獲得されました。
レースレポートが届きましたので、ご紹介します。
IRONMAN 70.3 Xiamen Report
【タイム】SWIM:33:43,BIKE:2:31:14,RUN:1:33:00,総合45位,50-54:2位
【使用機材】
DH Bar:PROFILE DESIGN V2+
Base Bar:PROFILE DESIGN OZERO TT
Main Compo :SHIMANO 7900系
サドル:PRO AERO FUEL
タイヤ:F:MAVIC イクシオングリップリンク,R:MAVIC イクシオンパワーリンク
ホイール:MAVIC CXR80
ヘルメット:GARNEAU VOLTTICE
パワーメーター:SRM
シューズ:MAVIC TRI HELIUM
補給食:ハチミツ350g(バイク),Power Bar gel×3(ラン)
【Prologue】
大会当日の天気予報は最高気温28℃,湿度80%とのこと,暑くなれば自分にもチャンスが広がるかなと思いながらホテルを出ると案の定,日差しが強い.トランジッションエリアでFUJI NORCOM STRAIT 1.1(以下NORCOM)に空気を入れなおそうとポンプを探すと,一番反対側にあるらしい.PROやIRONMANのステイタスが上位の者に与えられる若いゼッケンはポンプがあるエリアに程近いが,1663番の自分はかなり遠い.IRONMANのステイタスはこんなところで使われているのだと初めて知る.
【SWIM】
ポンプに空気を入れ,荷物を預けてトランジットエリアを後に海へ向かう.海でウォーミングアップをしようと海へ入ると,マーシャルが出ろと言わんばかりに笛を吹く.軽くウエットに水を入れる程度に泳ぎ,PROのスタートを見送る.スイムはローリングスタート,恥ずかしながら初めて聞く言葉だった.最近の主流(?)らしく,5名ずつ任意にスタートするらしい.私は一斉スタートが好きだ.順位が明白だし,若い選手と競うことができる.せめてエイジカテゴリー毎のウェーブスタートなら順位がわかるのだが,このローリングスタートは自分がゴールしても全員がゴールするまで順位がわからない.とにかくゴールラインを跨ぐまで全力でいくしかない.このローリングスタートについて直前までイメージできなかったが,競馬のスタートのような5つの枠がビーチに設けられ,そこからスタートするようだ.スイムで抜く労力を考えると,前の方からスタートするのがよいと考え,前の方でスタートを待つことにした.遠慮していたら,どんどん割り込まれて結局10番目位でスタートできた.軽くダッシュして水辺で飛び込むとゴーグルに水が入ってしまった.ゴーグルを直して泳ぎ始める.バトルがなく快適なスタートだ.波もなく順調に泳ぎだした.周りに人が少ないので,ドラフティング効果も感じられず,逆三角形のコースを反時計回りに泳ぐ.2つ目の頂点をターンし,岸に向かおうとするとどうしてもブイの内側に入ってしまう.潮のながれがかなりあるようだ.34分でスイムアップする.震災で多くの市民プールが閉鎖していて練習不足は否めない.タイムの悪さに落胆しながら,長いトランジッションエリアまで走る.ヘルメットを取り,ウエットスーツを脱いでラックに掛けてあるNORCOMを手に取りバイクをスタートさせる.
【BIKE】
周りにバイクは少ない.抜かれた選手についていきたいが,パワーメーターは250Wを示している.このペースでは90kmもたない.自分のペースでNORCOMを走らせる.最初のターンを過ぎて反対車線を見ても集団はできていないようだ.なるほどローリングスタートはスイムのバトルも防ぐし,バイクのドラフティング(集団走行)も防ぐ効果があるようだ.それにしても贅沢なコースだ.片側2車線(場所によっては3車線)を完全に交通規制(横切る人も車もない)し,走りやすい.日本ではこうはいかない.大きな2つの橋を超えるが,軽いNORCOMは気持ちよく登りことができる.空力を優先して重量の増したT.T.と比べ,非力な自分にはこの軽量なNORCOMがちょうど良い.2回目の折り返しをUターンすると向かい風だ.2週目のこの向かい風の区間に力を残しておかないとまずいなと思いながらペダルを踏む.50kmを過ぎたころから早くもへたれてきた.残りの距離をカウントしながら我慢をする.この辺りから後続から抜かれ始める.同じエイジ位の人に抜かれると焦るが,なんとも打つ手はない.最後の向かい風区間をしのぎなんとかバイクゴールだ.ほぼフラットなコースな割にはかなり時間を要してしまった.
【RUN】
しかし,気持ちを入れ替えてランに移る.走り始めはかなり脚が重い.最初の1kmは4分6秒と脚が重く感じる割には悪くない.周りにいる選手が自分より速いのだか,遅いのだか,エイジすらよく分からない.最後までプッシュするしかない.多少暑いが日本の夏のレースやKonaのような暑さはない.5kmも走ったところで,脚の重さは感じなくなったが,ラップが伸びない.7kmの周回コースだが,公園を横切る所やトランジッションエリアから出るところが段差になっていたりして走りづらい場所がある.2週目に入ると更にラップは悪くなり4分20秒台まで落ちる.3週目に入ったところで,長身の白人選手(後からイギリス人であることが分かった)を見つける.ゼッケンを見ると同じエイジだ.周回遅れの選手とごったがいしているところだったので,追いついたのか,追いつかれたのか分からない.向こうも気が付いたのか,スピードが上がる.なんとか根性で前にでるが,付いてこられる.3km位付いてこられたところで,前に出られてじわじわと離されていく.そんなときに,同じNORCOMに駆る安曇選手に抜かれる.彼女は2週目で,走りは軽快だ.一緒に付いて行ってゴールを目指したいが,スピードに差があり付いて行けない.ストライドが伸びないのが自分でも認識でき,ピッチで誤魔化そうとするが,ラップは4分40秒台まで落ち込む.4月に誕生したばかりの次男の面倒で大変な思いをさせている妻や寂しい思いをさせている長男を思うと諦めるわけにいかない.なによりKonaへ行くことを楽しみにしている.脚の痛みをこらえながら気持ちで走る.ローリングスタートゆえ,1秒も無駄にできないと思い,ゴールラインまで気力で走り抜けた.ゴール後,暫く動けなかった.ゴールから少し行ったところで,先着したイギリス人に会い,互いの健闘を称えあった.
【Epilogue】
ホテルに帰ると妻からのメールで,恐らく2位ではないかとのこと,負けたのは悔しいがなんとかKonaの権利は獲れるのではないかと少し安心した.夜の表彰式では,情報通り2位で表彰された.Konaのスロットも50-54のKonaの枠は3スロットで,無事に権利を取ることができた.Xiamenの大会は中国人の若い選手の参加が多く,男子55-59以上の枠はすべて1枠であった.薄氷を踏む思いであったが,Konaに滑り込めて安堵した.しかしアジアの大会とはいえ,表彰台,Konaのスロットの多くはヨーロッパ,北米,オーストラリアからの選手で占められていた.Konaの権利を獲った日本人は6人位であった.
写真中央:石倉氏
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